一般に、体を支え動かす関節/骨/筋肉などの運動器が痛んだりこわばったりする病気を「リウマチ性疾患」と呼びます。
このなかで関節炎が続いて関節が徐々に破壊され、やがて機能障害を起こす病気が「関節リウマチ」です。発症は30~40歳代が最も多く、うち8割は女性です。関節リウマチの症状には次のようなものがあります。

朝のこわばりは典型的な初期症状です。

朝起きた直後に体の節々が「ぎこちない」感じがして思うように動かせない。
手指が「ごわごわ」して動かしにくいという症状です。
しばらくして動き出すと気にならなくなることもあり見落とされがちですが、関節リウマチの典型的な初期症状です。

関節の腫れ、痛みは左右対称におこります。

関節に炎症が起こり痛みと腫れを生じます。最も起こり易いのが手指の第2/第3関節、手首の関節、足指の関節です。
こういった腫れや痛みは左右対称に起こるのが関節リウマチの特徴です。このほか関節であれば全身のどこにでも炎症は起こります。

全身に現れる症状にも注意が必要です。

全身に現れる症状にも注意が必要です。リウマチの初期には「何となく体がだるい」「微熱がある」「食欲がない」などの全身の症状も見られます。脱力感、筋肉痛、貧血など全身の症状に悩まされることもあります。

さらに進行すると関節の変形、機能障害になります。

関節の炎症が慢性的に続くとやがて軟骨や骨の組織が破壊され、変形や機能障害が起こります。
手指の変形が進むと家事などの作業ができなくなり、股関節、膝、足の関節の変形が進めば歩行が困難になります。
リウマチにはいろいろなタイプがあります。患者さんの約6割は症状の進行が遅く治療に反応して良くなります。このタイプでは大きな機能障害は起こりません。
しかし3割は長年にわたって少しずつ進行していくタイプ、1割は急速に進行するタイプです。いずれも大きな治療の効果は望めず関節の変形と破壊が進行します。

リウマチの治療法は?

関節リウマチの治療の目的は、炎症による関節や骨の破壊を防いで機能を維持し、できるだけ不自由のない生活を送っていただくことです。
以前は炎症と痛みを抑えることが治療の主な目標でした。しかし最近は抗リウマチ薬を早期から積極的に使用し、リウマチ症状の寛解(ほとんど治った状態)を目標とすることも現実的となってきています。

薬物療法

薬物療法の薬剤には、非ステロイド性抗炎症剤、ステロイド剤、抗リウマチ薬などがあります。さらに最近では、リウマチ治療を劇的に変える効果が期待されている生物学的製剤が使われるようになりました。

手術療法

薬物療法を行っても、炎症が進み関節が破壊されるなど、機能障害が改善しない場合は、人工関節に置き換えるなどの手術療法が行われます。
手術が必要と診断された患者さんには適切な医療機関をご紹介いたします。
しかしこのようなことになる前に早く治療を始めれば、その進行をかなり抑えることが期待できます。
このため関節リウマチは、早く診断し治療を始めることが重要なのです。